椎間板ヘルニアの
セカンドオピニオンについて
これまでの椎間板ヘルニアの診察頭数は、1,500件以上。2020年からはCTを導入し、診断精度の向上を計っております。
内科治療はもちろん、頸部および胸腰部の椎間板ヘルニアの手術も実施しております。
放ってはいけない
椎間板ヘルニア椎間板ヘルニアは最悪の場合、全身麻痺や死に至ってしまう病気です。
少しでも異常が見られた場合、すぐに検査や治療をする必要があります。
当院では、治療経験豊富な獣医師が治療を担当しております。
現在飼育されているワンちゃんの品種は多い順から、トイ・プードル、チワワ、ミニチュアダックスフントであり、この3犬種で飼育頭数の50%近くを占めています。そして、程度の差はあるもののこの3犬種は椎間板ヘルニアを起こしやすい犬種です。当院でも椎間板ヘルニアの症状で来院される方は多く、愛犬の急に痛がる様子や元気のない様子の変化に、飼い主の皆様はとても心配されています。
人と同じくワンちゃんネコちゃんでも、予防や未病治療が重要になってきていますが、椎間板ヘルニアについては、突発的に発症することが多く、なかなか予防が難しい疾患です。
私達は、適切な診断と治療により、ワンちゃん達の症状の改善を計り、飼い主様のご心配やご不安を取り除くために力を注ぎます。
これまでの椎間板ヘルニアの診察頭数は、1,500件以上。2020年からはCTを導入し、診断精度の向上を計っております。
内科治療はもちろん、頸部および胸腰部の椎間板ヘルニアの手術も実施しております。
2008年~2011年 | 東京都の動物病院に勤務 |
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2011年~2013年 | 名古屋市動物病院に勤務 |
2012年~2014年 | 岐阜大学神経科研修医 |
2013年~2015年 | 岐阜県の動物病院に勤務 夜間救急動物病院非常勤 |
2016年 | あま動物病院開院 |
背骨はブロック状の骨が連なって形成されており、その骨と骨の間にあってクッションの役割を果たしているのが椎間板です。この椎間板が変形して背骨の中を通っている脊髄神経に当たることで、神経の障害がおこる病気です。
症状の軽い場合は、痛みや行動の変化だけが認められます。抱き上げたり触ろうとすると痛がって鳴きます。痛みを表現しないワンちゃんもおり、その場合は、じっとして震えていたり、動くことを嫌ったり、段差を登らなくなったりします。
また、状態が重いほど麻痺の症状が出てきます。
胸から腰にかけての椎間板ヘルニアであれば、後肢がふらついて転倒したり、腰が立たなくなったり、後ろ足が全く動かなくなることもあります。
首の部分の椎間板ヘルニアの場合は、前肢にも麻痺が出るため、前肢も後肢もふらついて転倒したり、ひどくなると寝転がったまま起き上がれなくなります。
原因としては遺伝的なものと、加齢によるものがあります。椎間板ヘルニアは椎間板の中身である髄核が脱出するハンセンⅠ型と椎間板の繊維の部分が突出するⅡ型に分類されます。ハンセンⅠ型の原因としては遺伝的なことが多く、軟骨異栄養性犬種とされるダックスフント、トイ・プードル、チワワ、ペキニーズ、ウェルシュコーギー、ビーグルなどが発症しやすい犬種です。ハンセンⅡ型は加齢により繊維輪が出っ張ってきて脊髄に当たって症状が出るため、犬種による差よりも高齢で起こりやすいとされています。
椎間板ヘルニアでは、脊髄が障害を受けた程度によって症状が異なるため、症状によりグレード分類を行っています。これにより、治療方針の決定や予後の見通しがつきやすくなります。
グレード1と2では内科療法でも改善率が90%ほどになりますが、グレード3と4では50%に低下すると言われています。グレード5では内科療法による改善は期待ができません。そのため基本的にはグレード3以上の場合には、外科手術による治療が勧められます。ただし、グレード5では外科手術による改善率も50%以下とされ、発症から手術までの時間も改善率に影響を及ぼします。
また、グレードが1や2でも症状が慢性化している場合には、症状の改善のために外科手術を実施することもあります。
歩行は普通に行うことはできるが、痛みや違和感があり、あまり動こうとしません。触ったり抱き上げた時に痛がって鳴いたり、段差を上り下りしたがらないといった症状が出ます。
軽度の麻痺が出ます。歩行は可能ですが、歩きがふらついていたり、足を擦ったりひきずったりします。
足に麻痺が出ます。足を動かしたりシッポを振ったりしますが、立ち上がることができません。
自分の意思で排尿ができなくなります。膀胱には尿が限界まで溜まってしまい、ポタポタと尿が漏れ出てきます。手足も自分では動かすことはできません。手足の痛覚は完全に麻痺していないため、痛みは感じることができます。
痛覚の完全な消失。
グレード4と5(ほとんどはグレード5)の5~10%ほどが発症すると言われています。椎間板ヘルニアによる脊髄の損傷が大きいと、損傷部位から脊髄の壊死が起こり、それが脊髄全体へと広がっていきます。多くの場合、呼吸に関わる横隔神経の麻痺が生じることで呼吸不全を起こして死に至ります。
進行性脊髄軟化症の発症は、椎間板ヘルニアが起こってから2週間以内に起こります。グレード4と5の場合は、進行性脊髄軟化症の兆候が出てきていないか注意深く観察していく必要があります。当院では、進行性脊髄軟化症でも治療をあきらめません。
まずは一般身体検査および神経学的検査を実施し、椎間板ヘルニアが疑われるかを確認します。また、椎間板ヘルニアを疑う症状が認められる場合は、グレード分類をおこないます。
レントゲンだけでは椎間板ヘルニアの診断はできませんが、他の疾患の除外のためにレントゲン検査を実施する場合があります。また、治療として外科的な治療が必要と判断された際は、全身麻酔下での脊髄造影CT検査をご提案させていただき、病変部の特定をおこないます。
グレード1と2では内科療法により治療をおこないます。鎮痛剤や消炎剤の内服薬にて経過をみていきますが、最も大切なことは安静にしていただくことです。その他に当院ではスーパーライザーという近赤外線治療機も利用しております。
グレード3以上の場合やグレード1・2でも症状が慢性化している場合は、外科手術が適応となります。
検査により病変部を特定して、手術により原因の椎間板を除去します。手術をしたからといって、すぐにもとの状態になるわけではありません。
その後は、内科療法やリハビリをして歩行できるようになることを目指します。
開業前は椎間板ヘルニアの手術を年間100件以上おこなっている病院に勤務しながら岐阜大学神経科でも研修をしていました。これまでの椎間板ヘルニアの診療は1,500頭以上
内科治療と外科治療にはそれぞれにメリットとデメリットがあり、症状やグレードに合わせた治療の選択が必要になります。グレード分類をしたうえでその子に状態に合わせた治療をご提案させていただきます。
椎間板ヘルニアの検査や診断には専門的な知識や経験が必要となります。当院では、小型犬用のCTを使用して椎間板の診断と病変部の特定をおこなっています。
椎間板ヘルニアは例え外科治療をしてもすぐに症状が消えるわけではありません。術後のリハビリなどのケアも重要になります。当院では外科治療後も1週間は入院していただき、回復が早まる様にスタッフ皆で集中的なケアをしています。
急にどこか痛がる、足を引きずる、立てなくなったといった症状がある場合は、ご相談ください。特に足を引きずったり、立てない状況では早めに受診していただくことをお勧めします。すでに他院様で治療を受けていらっしゃる方は、これまでの経過や治療内容をできる限りご持参ください。
いつからどのような症状があるのかお伺いします。
一般身体検査と神経学的検査から鑑別疾患の把握、グレード、その他身体全体の状態をチェックします。
一般身体検査と神経学的検査から得られた情報から、今後の治療の選択肢をご提案させていただきます。メリット・デメリットをお伝えし、わんちゃんにとっても飼主様にとってもベストな治療となる様に一緒に考えて参ります。椎間板ヘルニアが強く疑われ、手術が必要な状態であれば、まずは診断のためのCT検査のご提案となります。
内科治療の場合は、ご自宅で安静にし、お薬を飲んで定期的に経過を見させていただきます。手術の場合は、まずは全身麻酔下での脊髄造影CT検査を実施し、椎間板ヘルニアの確認と病変部位の特定をおこないます。その上で片側椎弓切除術、小範囲片側椎弓切除術(ミニヘミラミネクトミー)、腹側減圧術(ベントラルスロット)などの術式で手術をおこないます。術後は入院していただきしっかりとリハビリをおこないます。
基本的には術後は1週間入院していただき、その間にアイシングやリハビリ、スーパーライザー(レーザー鍼とも言われる近赤外線治療機)を用いたケアをしっかりとしていきます。歩けるようになるまでの期間はその子ごとに違います。おうちでもリハビリができるように、退院時にリハビリのやり方をお伝えさせていただきます。退院後1週間ほどで最初の再診となります。
四本の足の全てが動きはするものの、立ち上がれるほどの力が入らない状態でした。意識はしっかりとしていましたので、犬種と急性の症状から首の椎間板ヘルニアグレード3の可能性が高いと判断し、外科治療を前提としたCT検査をご提案しました。CT検査を実施したところ、首の骨の4番目と5番目の間の椎間板ヘルニアと診断しました。
検査と診断
頸部腹側減圧術を実施しました。手術翌日からアイシングやスーパーライザー(レーザー鍼とも言われる近赤外線治療機) 、リハビリを実施しました。術後2日目から起立可能となり、徐々に歩行可能となりました。
診断しました。
4カ月前からふらつくとのことで来院されました。歩行は可能であったものの、ふらつきが認められました。内科療法で改善はしましたが、その後も良くなったり悪くなったりを繰り返し、痛みを伴う起立困難な状態になってしましました。
検査と診断意識はしっかりしており、痛みと四肢の神経機能の低下を認めたため頸部の神経疾患が疑われました。CT検査の結果、頸部椎間板ヘルニアと診断し、手術を実施しました。
治療と経過
腹側からの椎間板が脊髄の左右にも広がっておりました。また、発症から時間が経っており、椎間板の癒着が激しく、椎間板物質の除去には非常に困難を極め、全てを取り切ることはできませんでした。ただし、それでも症状の改善は期待できると判断して、手術を終えました。
術後はアイシング、スーパーライザー、リハビリをおこない、術後3日程で歩行可能となりました。その後はフラつきが改善していくまでに少し時間を要しましたが、痛みもなくなり正常に歩けるようになっています。
突然に後ろ足が動かなくなって来院されました。急性の症状と犬種から椎間板ヘルニア(グレード4)の可能性が高いと判断し、飼い主様の同意のもと脊髄造影レントゲン及びCT検査を実施しました。第13胸椎と第1腰椎の間の脊髄の圧迫を確認しました。この子は2年前にも第2-3腰椎間の椎間板ヘルニアで当院で手術をしており今回が2回目ということと、グレードも4だったため、足のもつれなどの後遺症が残る可能性をお伝えし、手術を実施することとなりました。
治療と経過脱出した椎間板物質は右側に片寄っており、第13胸椎の前方の方まで広範囲に認められました。以前にも他の部分の手術をしていることと、今回は広範囲に骨を傷って脊椎に穴をあける必要があることから、背骨の不安定化を最小限にするため、小範囲片側椎弓切除術(ミニ・ヘミラミネクトミー)にて関節突起を温存して脊柱管へアプローチしました。大きな椎間板物質を除去できました。 術後2日目から足が動くようになり、4日目には転びはするものの立ち上がることができるようになりました。その後徐々に歩けるようになり、今ではほぼ正常に歩いております。
1年前から続く慢性的な痛み。かかりつけ医で処方されたステロイドを飲んでいると痛みは落ち着く
検査と診断神経学的検査では痛み以外の明らかな異常は認めませんでした。レントゲンで第1腰椎と第2腰椎の間の椎間板が潰れており、変形性脊椎症を生じていました。椎間板ヘルニアだったとしてもグレード1ですが、内科では関知しない慢性的な痛みがあることからCT検査を実施しました。
治療と経過
明らかな脊髄の圧迫所見を認めたため片側椎弓切除術にて脊髄を圧迫している椎間板物質を取り除きました。
術後1年間続いていた痛みの症状は消失しました。